70kmのトレイルラン大会「奥三河パワートレイル(2016)」参戦記。完走率が低い難レースに挑んできました。

部長の榎本です。

4/24(日)に行われた「奥三河パワートレイル」に参加してきました。

舞台は「奥三河」と呼ばれる愛知県東部の山間地域。距離70km制限時間13時間トレイルランニングレースです。

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■結果
タイム:12時間51分01秒
順位:総合449位/780人

朝6時半にスタートして、フィニッシュゲートをくぐったのは夜7時21分。制限時間の9分前!
持てる力をすべて出し切り、なんとか完走することができました。持っていない力まで総動員した気がします。

■レースについて
この「奥三河パワートレイル」の大きな特徴は、完走すること自体が難しいこと。

昨年2015年に開催された第1回大会の完走率はわずか3割。参加したランナーの7割が、途中の関門あるいは最後のフィニッシュゲートまで制限時間以内にたどり着くことができず、涙を呑んだというわけです。

なぜそんなに完走率が低かったかというと、制限時間が厳しいから。第1回大会は距離63kmで制限時間12時間。これは同じクラスの他の大会と比べてもハードルが高い。第2回目となる今回、制限時間は1時間伸びて13時間になったものの、コースが若干変更されて距離が70kmに伸びたので、難しいレースであることに変わりはありません。

そもそもこのレースはエントリー条件が厳しい。参加するには下記3つのいずれかを満たす必要があります。

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(1)3年以内に50km以上のトレイルランニング完走
(2)ロードマラソン100km以上完走
(3)第1回奥三河パワートレイル第2関門到達

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最近、川内優輝ばりにレースに出まくっている"トレランはいつも雨"ことHRC♡部員の水越さんも、一瞬このレースに関心を示したものの、条件を満たせず断念せざるを得ませんでした。水越さん、来年こそはぜひ。

■コースについて
コースは愛知県豊根村茶臼山高原をスタートし、新城市湯谷温泉でフィニッシュする70kmのワンウェイコース。
高低差はこんな感じ。

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累積標高は、上りが約4,000m、下りが約4,800m。
スタート地点の標高が約1,200m、フィニッシュ地点の標高がほぼ0mなので、必然的に下りが多くなります。

■現地へのアクセス〜大会前日の動き
スタート会場の茶臼山高原はだいたいこのあたり。

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自分は豊橋駅から出るシャトルバスを利用したところ、バスの出発時間が当日の深夜3時! それに乗るために、前日早めに豊橋に入り、ホテルへ荷物を預け、湯谷温泉までゼッケンを取りに行き、ホテルに戻って超早寝して当日深夜2時に起床。この過酷な時間設定がもはや第0関門と言っていいくらい。

前日、湯谷温泉大駐車場にて。必携品チェックを受け、ゼッケンを受け取る。

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ここはフィニッシュ会場でもあります。

ゼッケン受け取り後、レースプロデューサー石川弘樹さんによるコースガイダンスを拝聴。

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湯谷温泉豊橋から飯田線で1時間ちょっと。自分は泊まらなかったけど情緒あふれる素敵なところでした。

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■レース展開
自分の目標はずばり「完走」。タイムや順位はともかく、なんとか制限時間の13時間以内にフィニッシュまでたどりつきたいなと。

そのために大いに参考にさせてもらったのが、昨年完走したRBRG桑原さんのレポート。

rb-rg.jp

去年と今年で多少コース変更があったものの、このレポートがとてもタメになった。これを読まなければ完走できなかったかも。

以下、自分のレースの模様を写真とともにあげておきます。

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スタートから35kmあたりまではアップダウンがそれほどきつくなく、気持ちよく走れる。「走れる」というか「走らされる」という捉え方もあるようですが。ともかくここで脚を使い過ぎないように気をつけなければいけないらしい。

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12.6km地点にあるAS1津具。シシ汁が美味。

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水だけを提供するウォーターステーション、WS1面の木。

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WS1を出てから細かいアップダウンをいくつか超えると、林道とロードの下りが10kmほど続く。腹が減ってきたのでAS2笹暮ではおにぎりを3つほどいただきました。

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タコウズ川という川の沢沿い。ここも気持ちよく走れるパートのひとつ。単調と言えば単調なので、途中でちょっと飽きてきたけど。

そして距離的にはほぼ中間にある37.3km地点のAS3小松に到着。この時点で4時間54分が経過。

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計6つあるエイドのなかでここがもっとも規模が大きく、地元の人や応援もたくさんいて盛り上がっていました。食べ物も充実していて、五平餅が特に美味しかった。

各エイドでは地域のみなさんのあたたかいおもてなしがとても励みになった。
ただ、大会前日のコースガイダンスで石川弘樹さんが「エイドで長居しすぎないように」と口を酸っぱくして言っていました。この大会は制限時間が厳しい。余裕で完走できるトップ選手はいざしらず、完走できるかどうかの瀬戸際にいるランナーは、エイドで長居してしまうと、その時間が命取りになるぞと。
自分はまさにそれに該当すると思ったので、そのことを戦略として強く意識しました。エイドって居心地が良いからついつい長居しがちなので。

小松エイド以降はコースが一変、険しい山岳地帯に入っていきます。

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途中で心が折れそうになったけど、岩古谷山からの眺望は素晴らしかった。

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スタートから8時間17分、48.4km地点にあるAS4四谷千枚田に到着。

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こちらは四谷千枚田からの眺め。

57.1km地点にある最終エイドのAS5棚山高原に到着したのは、スタートから約10時間半が経過した17時頃。残り約13kmを2時間半で走らないと制限時間に間に合わない。うーむ、微妙かも。まわりのランナーからは「トップ選手でもここからフィニッシュまで1時間40分かかるらしい」という声が聞こえてきた。まじか……。まあ、でも、せっかくここまで来たわけだから、あきらめずに、やるだけやってみるか。そう奮起して、いざフィニッシュ地点の湯谷温泉を目指します。

そこから先は体力的にも時間的にも余裕がないうえに、日没後なので写真は撮れなかったけれど、このレースのラスボス、鳳来寺山への道のりが想像を絶するほどハードだった。
延々と続く上り、そして何度も現れるニセピーク。もうダメかも……と心が折れまくっているうちにようやく山頂がやってきて、そこから先は無我夢中で全力疾走。
最後の最後、暗闇の先にフィニッシュ地点の歓声が聞こえてきたときは、胸の奥からこみ上げてくるものがありました。

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ちなみに今回の完走率は6割程度だった模様。前回よりは上がったものの、50km以上のトレイルまたは100km以上のロードの完走経験がある猛者たちが集まって、4割が完走できないって、どんだけハードなんだって感じですよね。

このような難レースを走り切ったことは大いに自信になったし、なによりトレイルランニングをやっていなければ絶対に足を踏み入れることはなかったであろう奥三河地域の素晴らしい自然を堪能できたことは貴重な経験になりました。

道中はこのレースにエントリーしたことを後悔したほどキツかった。完走直後はもう当分いいやとさえ思った。でも、こうして改めて写真を見返していると、また走りたくなってくるから不思議。やっぱりトレイルランニングは楽しいです。

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