信越五岳トレイルランニングレース2017 レポート 『ペーサーから見た信越五岳』

クエン酸ちゃんととってますか?

どーも。鬼か仏か高橋です。
夜風が気持ちよくてスピードあがるぜー、な時期ですね。
ロードもいよいよシーズンインといった感じですが、トレイルはビッグレースが続くシーズン到来っすね。

そんなわけで早速僕も“気持ちよく走れる大会”『信越五岳トレイルランニングレース』(110kmの部)に参戦してきました。
あ、参戦といっても榎本さんのペーサーです。
『ペーサーとして見た信越五岳』、前置き長いですが初レポートさせてもらいまーす。



とりあえず詳細はこちら
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SHINETSU FIVE MOUNTAINS TRAIL
信越五岳トレイルランニングレース

〜patagonia cup〜
http://www.sfmt100.com
■Date : 2017.09.16-18
■Location : 信越高原(新潟県妙高市、長野県長野市信濃町飯綱町飯山市
■Distance : 100mile、110km

■Course map
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今年は大会実行委員長兼プロデューサーの石川弘樹さんの念願叶い、9年目にして100mileの部が新設(できるらしいという噂で去年からざわついてましたねー)。9月、10月、何に出ようか迷わず、信越五岳にプライオリティを置いた人も多かったのではないでしょうか。
僕はというと、これまでは開催時期を忘れていてエントリー期限が過ぎていたり、UTMFが秋に移動したりで、縁がなく、今回が初めての参加でした。トレイルを始めた5年前からリサーチを続けて、やっとたどり着くことができました 。ふー。

ペーサーを必要としてくれた榎本さん、感謝です。

高低図を見て分かる通り、110kmの部は約20km地点の斑尾山、終盤97,8km付近の瑪瑙山以外大きな山はなく、途中登り基調の区間はあるにせよ、ほぼほぼ走れるコース。
でもって、5年分のリサーチによって導き出したこの大会の魅力は大きく分けて3つ。


1:ふかふかで走れるトレイルがコースの大半を占める
ガレ場も林道もロードも少なく、トレイル率高め。サーフェスのコンディションも抜群。とあれば、そりゃあみんな、『出てーー』となるわな、な大会。ストレスなく自然を感じて走れる。歩けるコースレイアウト。意外と日本にはこういう大会が少ないんですよね〜。

2:誰でも出場が可能(ただしクリック合戦)
トレイルの大会で100kmを越えるものは基本過去の実績(例:50kmのトレイルの大会完走)がないと出れないレースが多いのに対し、この大会は実績なしでO.K.。ロードを基本にしている人でトレイルの大会に出たい人、トレイルをメインに変えたい人、トレイルに移って一気にマイラーを目指すような人に優しい設定。最近では短いレースから徐々にコツコツとポイントを稼がなくてはいけないですからね。ありがたし。ポイント制度って大変です。

3:ペーサー制度
ペーサーの説明は僕がリタイアした今年のトレニックワールドのブログ↓↓から

hrc.blog.houyhnhnm.jp


9回目を迎えるこの大会は日本で初めて(今でもトレニックワールドとKOUMI 100と合わせて3つのみ、他あったらすいません)ペーサー制度を導入した大会。早いランナーならペースを落ちないように考えてもらうこともそうだし、なにより後半疲れがきたタイミングで仲間と一緒に走れる(信越五岳では110kmの部は63km地点がペーサーとの合流ポイント)のは、ウルトラトレイルのレースでは心の余裕が全然違うもの。
僕がこの大会の存在を知ったのは2010年大会のYou Tube
ヤマケンが楽しそうにゴールするシーンが印象的で、それをきっかけにリサーチしている間に、ペーサーの存在を知ったんですよね。

ランナーとして出るのもいいけど、ランナーが楽しんでゴールするのをサポートするのって、なんかいいなと。いつもは“挑戦系”が多いし、こういういい意味でお祭り感のある大会なら『ランナーよりもペーサーがいいな、出るならペーサーで』と思い続けていたんです。

榎本さんにはvibram Hong kong 100で会った時から『この大会が秋のメインレース』と言っていたので、とりあえず機を伺いながら、会って3,4回目(よく覚えてないw)、満を辞して『ペーサーいます?いないならいいですか?』とラブコール。
すると即O.K.がもらえました。ペーサーからランナーへの逆ナンパ、なかなかない逆パターンを見事成功させていただきました。
ナンパってドキドキするけど、O.K.もらえると嬉しいもんですね。

ハセツネと並んであっという間に終わるクリック合戦(エントリー開始から5分程度で終了)も気合いで突破してもらい、見事110kmの部に参戦する権利を見事にとってくれました(ペーサーはクリック合戦などはなく、ランナーが申告をすれば基本O.K.)。

となるとあとは走りこむのみ、とばかりに一緒に山に行きまくり、夏場には信越五岳の1週間後に控える上州武尊組と南アルプスで合宿もこなし、シメにはキリアンが帰ってきたUTMBをライブで追いかけ、イメトレも、心も体も万全な状態。

『待ちきれないっすね~』『ぶっちぎってやりましょう!』

なんて盛り上がってました。
が、が、が、がーーーーーー、、、、世の中そんなに甘くはないもんですねー。
荷物もまとめ終わった受付前日、運営側からのアナウンス。
110km→52kmにコース短縮(100mileは102kmに)!!!! 泣
去年のUTMFのデジャブとばかりに、台風18号『タリム』(鋭い刃先)に会場となる妙高高原エリアをロックオンされ、まさかの展開となりました。無念!!!(ペーサーでしかないけど)


気合十分だった榎本さんからは

「立ち直れないほどに凹んでます」

と。
一緒に参戦する山本さん、岡田くんも

「102km、行かせてほしー」

と、テンション低めのメッセージ。完全に残念な展開に。
僕はというとペーサーなもんで、まあしょうがないか、くらいに思ってました。
それというのも前年のUTMFの経験が大きかったです。
トレイルの大会に出る以上、天気によってのコース短縮は可能性としてゼロではないということ。
今回は主催者側(石川さんの意見が大きく反映されたと見る)の英断というか素晴らしい対応だったように思います。
UTMFで、スタート前ギリギリまで『100mileを走らせたい』と雨雲がそれるのを祈った(期待した)鏑木さんも鏑木さんらしく、熱くなったけど、今回は、石川さんは石川さんで、台風がそれる可能性はまだ残っていたにせよ、心のストレスを早々に取り除いて、『短縮版信越五岳をいつも通り一緒に楽しもう。信越には楽しみに来てよ』という目に見えないメッセージが見えて、僕はみんなが凹むのをよそに俄然上がってました(あくまでペーサーだからなんですけどね)。
実際にUTMFの時はギリギリすぎて混乱し、飛ばしすぎて撃沈。苦い思い出です。 汗

参加するみんなには、とりあえず『スピードレースを楽しみましょうよ』なんて気休めを言って、みんなの下がったテンションを上げようと試みつつ就寝。
みんなが実際のところどうだったか分かりませんが、僕の場合は寝て、起きたら、完全なスピードレースモードに(あくまでペーサーですけど)。台風が直撃するなかぶっちぎるのはエクストリームで楽しそう、と考えてました。


そんなこんなでレース前日です(前置きだいぶ長〜、まだ前日かよ、って感じですよね〜)。

榎本さん、山本さんと新幹線で、最寄り駅の飯山駅、その後、大会の送迎バスに乗り換えて会場となる斑尾高原レストランハイジへ。パパッと受付を済ませ、その後一旦宿へ戻ってレース準備。準備と言ってもコースが短くなったし、ゼッケンつけておしまい。ものの10分で準備完了です。その日はウェルカムパーティ~100mileの部の見送り、という流れでしたが、早速ビールで前祝い。ほろ酔いでウェルカムパーティへ。


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とりあえずお約束のスタートゲートでの記念撮影。おちゃらけれなくてすいません!


17時半からのウェルカムパーティはなんでしょうね、リアルにお祭りモードで、華やかでした。
みんなトレイル慣れしているというか、浮き足立っている人がほとんどいないし、ただオシャレ優先なだけの人も少ない、トレイルとこの大会を愛してる空気が充満していましたね。
単独で参加している人が少なく、ペーサーなのか、応援なのか、複数で参加している人たちが多かったのも特徴的。
1人だとアウェーを感じるようなところもあるかもだけど(ペーサーってこういう時にもいいもんです)、みんな一年間、この大会が訪れるのを心待ちにしていたのが伝わってくるいい宴でした。前夜祭感半端なかった。
食べ物は、種類の違う焼きそばや笹寿司、キノコ汁が、食べては追加され、カーボローディングも完璧。28k程度しか走らない身に十分すぎるほど取りました。
そんなこんなで満腹モードになった頃、石川さんの挨拶。
締めのメッセージの『コース短縮にはなりましたが、みんなで盛り上げましょう!』(一字一句正確ではありませんw 覚えておけよー、ですね。汗 もっといいこと言ってました )にはグッとくるものがありました。
周りからは拍手喝采、誰一人コース短縮を悔やんでる空気がないのが良かったです。

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石川さんの挨拶。とりあえず食うの優先で近くには行きませんでしたw


コース短縮で気が楽になったこともあり、ビールもここぞとばかりに飲みまくりました。カーボローディングにビールローディング、多分最終的に走って失うカロリーよりも余裕で食べて飲んだはず。何しに来たんだか、だぜ。

宴もたけなわになり、会場にはちらほらmile組みの姿が。
そう。今年から新設された100mileは、welcome partyの終了に合わせた19:30のスタート。
トレイルの大会に出て思うことの一つに『もう少し演出を頑張ってくれないかなー』というのがあるんですが、この設定は素晴らしい演出だなと思いました。
これまでは応援する友人や家族が見送るだけだった大会を、110k組も加わって見送られる100mileの部。
単純にギャラリーが多いとランナーは上がるし、それ以上に『次は自分が向こう側に』という110k組の視線を感じながらスタートできるなんて、トレイルランをやっているものとして最高の栄誉(信越五岳の100mileに出るためには100km以上の大会を2年以内に2回完走が条件なのです)なのではと。石川さんから100mileを走るランナーへの最高のおもてなしでしたね。
100mile組が羨ましかったゼ!改めて、100mileは見送るより見送られたい。そう思いました。
素晴らしい演出にジェラス!


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100mileのスタートシーン。夜スタートなだけでなんか旅感2割り増し。会場のライトがいい演出がかってました。


そんなわけでpartyの最後、100mile組を見送って宿へ。戻ってからももちろんビールで再度乾杯し、あーでもない、こーでもない言いながらのトレイル談義。距離が短くなったこともあって、飲み続けました。

でもって山本さんが座り寝したところでお開き。
『起きれるかな?」野沢温泉の時のことを思い出しながら、とりあえず僕と榎本さんも就寝。
翌朝5:30がスタートなので3:00起きです。

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photo by Issey

あ、宿に関しては、エントリーの際に大会側に現地に宿泊する旨を伝えておくと、ランダムに手配してくれる模様。自分らで探す必要がありません。これは便利ですな。
ちなみに岡田くんの泊まった宿は前泊がブルーベリーペンション、後泊がプチハウスふぉ~ゆ~。
素敵なネーミングで是非泊まりたかったっす。岡田くんにジェラス!

で、ようやく大会当日。長かったー 笑
榎本さんも山本さんも二日酔いの感じもなく無事に起き、まだ真っ暗な3:40に、歩いて会場へ。
110k組には会場でパン、おにぎり、サンドイッチなどの朝食がとれるサービス付き。100mileよりも110kの方が全然いいのでは?と思わせてくれます。

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そして、いよいよスタート。
直撃予報だった台風は逸れて、雨に打たれることなく、みんな斑尾高原レストランハイジを出て行きました。


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応援に気づいてくれて、手を振る山本氏。ブレブレで失礼

ペーサーとして参加して、これはいいなあと思ったことの一つはやはり、見送りができること。
100mileも含めて2回の見送り(2回見れるのは110kmのペーサーだけ!)、しかもスタート後3kmほどで一旦会場近くに戻ってくるコースレイアウト(ゲレンデの坂を200〜300m登るとコースへ)なので、ある程度ばらけた状態になってから、もう一度応援できるのがいい。

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会場からゲレンデを登って応援へ向かう皆さん。いい運動でした。

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みんなコース短縮になって、飛ばしまくっていて楽しそうでした。
走っている人たち、みんないい表情だったなー。


短縮になった110kmはstart後、A1:菅川、A2:バンフ、A3:熊坂、A4:黒姫まで。54km地点が今回のゴール。
累積はトータルで2500m弱(高橋コンピュータによる)。後から知ったことだけどトップランナーは前半を1km4分程度で攻めたよう。ガチ完全なスピードレースです。
ペーサーの僕はA2のバンフ(24km地点)からの28km。約3時間後の合流予定でした。


当初110km走ることを想定して考えていたのは何よりどの状態で合流するか。
当初は53km走ってきてからの47km。
その段階では

1:信越のトレイルを満喫して全く疲れてない元気一杯モード → そのままペースを落とさないように走ってもらいながら喋りをバランスよく差し込む

2:53kmしっかり走ってちょっとお疲れモード → 割と世間話中心に気晴らししながら距離を稼ぐ
3:結構お疲れでやっと走れるモード → コース情報以外はほとんどしゃべらず集中力を高めてストイックさをキープ
4:お約束の睡魔にやられてお眠ダメダメモード → 速攻DNFして会場から姿を消す

とかなんとか考えてましたが、コース短縮になったことで、答えはぶっちぎる!の一択のみ。
スパルタで攻め続けさせるべし!しかないぜーー、と鬼スイッチを用意。

途中トレイルサーチで順位をチェックすると榎本さんは121位での通過。約30秒前で岡田くんが走っている模様。

このタイミングで、最終的に「100位以内」、「岡田くんを捕まえる」をターゲットにし、いざ僕も合流ポイントのバンフへ。
バンフへは歩いて15分ほどなんですねー。応援する側にこれまた優しい。

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A2 バンフまではすぐなので、ハイジで待機。スタッフがA1 菅川の通過順位を知らせてくれるので、通過を確認した人から順にバンフへ。


到着するとちょうどトップの選手たちが到着。少しずつばらけているとはいえ、ほぼ間を空けずに続々と通過していきます。
ここでもトレイルサーチで速報を確認していると岡田くんが到着。

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『榎本さんもすぐ来ると思いますよー』と余裕のコメントを残してささっとエイドを後にして行きました。

『オッケー、ガンバって!』とか言いながら、内心は「すぐ捕まえちゃる!」と、戦闘モードのスイッチをONに。

それから5分ちょい。榎本さんが到着!

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タイムは僕が考えていた予定より20分も早い2時間40分。が、飛ばしすぎてる様子もなく、調子も良さそうで、まだまだ余裕がある表情。
順位はA1より下がって134位ではあるものの、これは前半ついつい飛ばしてしまう、コース短縮レースあるあると察し「ちぎりがいあるぜー」と勝手に上げました。
榎本さんの準備が整ったところで、「ぶっちぎりましょう!」と伝え、いざ走り出し。


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A2 バンフ photo by hiroshi


■ペーサーがすべきこと(52kmレースの場合)

ペーサーの役割として、走る前に考えていたこと、走ってみて思ったことはこれまた3つ。


1:順位を上げること
ペーサーとして出る以上、一番に考えたのは合流前よりも確実に順位をUPさせること。周りではファンラン感覚で走っているペアもいたけど、それはいつでもどこの山でもできることなので、今回は特にコース短縮になったこともあって、順位を引き上げることを意識しました。榎本さんは走り込んでいる人だから、走れるパートで絶対歩かないように、逆にあげすぎて潰れないようなペース設定で、1つ前2つ前を走るランナーが見えるところではそれよりも少し早いペースで、少しずつ詰める感覚を味あわせれるように。それでハイになったらラッキー、な感じで。

2:コースガイダンス
ザックを持ってあげたり、ジェルなどの補給食やドリンクの手渡しも今回はNGなので、目に見えない部分で、走ること以外の負荷を最低限に抑えてあげること。それほど高低差があるわけではないけど、コースレイアウトを先読みしてガイド。心の準備をしてもらう。これはやはりペーサーがしてあげる需要なことだと思いました。疲れているタイミングになると「後どんくらい登るのかな〜」と弱気になりがち。
今何キロ地点で、これから累積何メートルupするか、下りの時は、登り返すタイミングが後何キロでやってくるか、知って走るだけでだいぶ心持ちは違うので、ペーサーの大事な仕事と思いました。

3:集中力を持続させる
一緒に走っていてもどっかのタイミングでは、思考がお疲れモードになって、集中力は切れるもの。

走れているパートでは → 吠える。無駄にしゃべらない。前に出てもらう。
疲れてペースが落ち始めたら → 雑談を交えて走ること以外のところに意識を向けて気を紛らわせる。
携帯をいじり始めたら → まく(ギリギリ見えなくなりそうな距離まで)。


これが110kmをフルで走るんだったら、もう少しゆるくしていただろうけど、52kmならプッシュあるのみ。一人ずつ拾って拾って順位をあげる快感が一番の良薬。スーパースパルタになってしまったかもですが、結果、出し切らずに中途半端なレースをするのが一番つまらなくて消化不良になるし、ミドルレンジのペーサーなら(そんな大会どこにもないけど。ある?)、楽しみは記録とか順位とか、自分を追い込む方に持っていくべきなのでは?とロード向きな考え方を優先。
9割型鬼モード。『苦しんだ分だけ感動も大きいのじゃ!』と、疲れた時ほど昭和世代らしいスポ根コミュニケーションをチョイスするようにしました。

と、あげてみた3つはどれも当たり前のことなんだけど、実際にはペーサーがいくら考えてもランナー次第。なので意外と難しい部分も。特に3はコースレイアウトとの関係、相性もあるので、結果的にうまくできなかったなあと反省。ペーサー、奥深し。


A2~A3区間は15km。
前半2,3kmは軽いアップダウンはあるものの全部走れる傾斜、その後袴岳に取り付いて登り基調に。ここは走っては登れなかったけど、2,3人にかわされる程度でサクッと攻略。
袴岳を過ぎるとエイドまで約7km、ほぼずっと気持ちよく走ってくだれるパート。
エイド間全体で見ると9割以上(ほぼ10割に近い)がトレイル。しかも幅の広いシングルトラックがほとんどで、サーフェスは落ち葉の上に軽く雨が降った後でしっとりふかふか、絶好のコンディションでした。

全部を走ったわけではないので一概には言えないけど、この区間を走っただけで、みんなが信越を愛する理由が少しわかった気がします。
お祭りモードな雰囲気とか、走れるコースレイアウトとか、理由はそのほかにもたくさんあるけど、危険性の少ない下りをジェットコースターのごとく駆け下りていく快感。これはトレイルを始めた頃の喜びを思い起こさせてくれるものがありました。純粋に『やべー!楽しい!』って心の中で叫んでましたね。“みんなが期待するトレイル”が少なくともこの区間にはありました。踏み固められていない、かつ滑落する危険性のない幅が取られたトレイルを無我夢中で、走ってました。



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かっ飛ばす榎本氏。引き離せず撮影に苦戦 汗


そんなわけで僕も榎本さんもテンション高め。『フォーーーウ!』とか奇声を発しまくり、『岡田、どこだ!』と叫んでるうちに、あっという間にA3:熊坂のエイドへ到着。
30人近くパスしたかな。
ここまでで榎本さんは39km。快調に飛ばせているとはいえ、ハイペースの展開もあって、ある程度疲労が溜まっていると推測。

とりあえず僕は“髙橋さんとこのトマト”をいただき、コースレイアウトを確認しながら、露天を物色するかのようにそのほかの食べ物ももぐもぐ。いつもだとパパッと食べて出るところですが、エイドのおじちゃんおばちゃんと世間話を楽しませてもらいました。
トマトはでかすぎて、みんな一瞬躊躇してたけど、食べると『もう一個!』となる人もいましたね。
うまかった。
榎本さんにも無理やり進めて食べてもらいました。

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さてさてA3~A4区間は13km。
高低図を見る限り今度はなだらかな登り。多分林道だろうな、という斜度。後半にトレイルに入って最後下ってゴールだろう。と読みました。
周りのランナーもこれまでの下りを飛ばして、足にダメージがき始めているはず。このだらだらな登りが攻めどころな訳で、ここは鞭の打ち所とばかりに、より鬼になる準備。
歩かず、ペースを落としすぎないように意識しながらプッシュできるところはプッシュ。
実際には前半はロードで、関川沿いを北上し、途中で未舗装路に。A3までの楽しいトレイルとは打って変わって、単調な『とりあえず走らないと』なパート。あれ?信越?まあこういうところもありますよね。トレイルではないけど走れるパート。
A3までとは接し方を変えて、雑談を交えながら、気を紛らわせます。

徐々にペースダウンはしたものの、歩かずに我慢。
そうこうしているうちに前を走るランナーを続々とパス。
やはり前半突っ込みすぎたランナーが多かったようで、このダラダラと続くパートでは歩いている人も多かったです。

榎本さんはというとちょっと暇になり、ペースも落ちているので、走りながら携帯で他のメンバーとメッセンジャーでやり取りを開始。
器用だな~、と思いながら、見て見ぬ振りをし、少しまきにかかって焦らせます。多分イラっとしたはず 笑

エイドを出て約6km、榎本さんの疲れもそろそろピークに達しつつあって、会話もしんどくなり始めた頃、天の助けとばかりに私設エイド出現。多分榎本さんはドラクエで言うところのHP残り3くらいの状態だったと思います。
生き延びた感のあるエイド。ありがたし!


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多分家族なんでしょうね。子供がドリンクを注いでくれます。VIBRAM HONG KONG 100を思い出したなー。

コーラやパイナップルで最後の補給をゆっくりとって、最後の追い込みの準備完了。

私設エイドを出ると、ロードに戻り、徐々に斜度をあげてトレイルへ。
このタイミングでいよいよ雨が降って来ました。
それまでは強い風は吹くものの雨がなかったので、割と気持ちよかったんだけど、雨足は徐々に強まり、土砂降りになりそうな気配。
先を急ぎたいところだったけど、最後トレイルに入ってからの登りがまあまあ斜度があって苦戦。
甘い声でもかけるか? 否!
考えた結果出た答えは、阿修羅マンでいうところの冷徹モード。
少し距離をとった状態にして、追い込み。鞭を打ちますw
が、離しすぎて心を折っては意味がないので、後ろを振り返り、距離を確認しながら、引っ張る。
声をかけるとだれそうなので、無言のトーク
この時の榎本さんはかっこよかったですねー。
もちろんいつもかっこいいですが、リミッターをハズして、登りを攻める姿は普段は見れない“漢”感がありました。
心肺ギリギリまで登りを走って、苦しくなっては少し歩く。
僕はというとそのタイミングに合わせて監視の視線を送ってましたw
するとまた走り出す。
そこは走らなくてもいいところを走っていたのですが、あえて何も言わず、45kmほど走ってきてからの坂ダッシュインターバルを楽しんでもらいましたw
意外と楽しんでいたような。

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最後の登りを攻める榎本氏。

そんなを繰り返してると、思いのほか早くピークへ。
最後の下りのパートへ突入。
残りは2kmちょい。ここでは信越のトレイルを名残惜し見ながら、ギリギリまで追い込んだ身体を労ってゆっくり走ろうと考えていましたが、下りになると榎本さん復活。少しずつ加速し、ここでも3,4人パス。
そのうちの一人はペーサー一人で走っていて、「あれ?おかしいな」と思って聞いて見たら、「一緒に走っていたランナーが途中で覚醒して、まかれた」のだとかwww
そんなことあるのか?トレイルで覚醒する人あるあるとして覚えておきましょう。
絶対そんなのやだわー、と思いながら、僕らは無事一緒にゴールへたどり着きました。


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photo by 小関信平 ゴールの瞬間。我ながら楽しんでますな。


110kmではなかったので、それほどの感動ではお互いなかったかもだけど、個人的には距離が短くなったとはいえ初ペーサーを満喫させてもらいました。
榎本さんの記録は6時間17分ほど。順位は93位。
合流してから41人をパス。鬼としての役目は十分果たせたか 笑
100位を割るミッションは(勝手な僕の目標でしたが)達成しました。
岡田くんは捕らえられなかったのでまた別の機会に。『待ってろ、岡田!』

その後はみんなで山本さんのゴール待ち。


そしてゴール。

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途中、走れるコースがしんどそうでしたが、ゴール後はこのポーズ。
いい表情です。


最後はボランティアで参加していたクマちゃんも合流してみんなで記念撮影。

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仲間と走れる喜びはやっぱり変え難いものですが、全員がゴールしてからのこの時間はやっぱ格別ですね。
ロングレースならロングレースほどそう思います。来年こそはコースフルカバーのこの大会に参戦したい。
あ、来年もペーサーとして、です(100mileか110kmかは置いといて)。
100mileの部に出ていたランナーが口々に言っていたのが「110km同様に走れるレースだと思って臨むとかなり厳しい」ということ。それを聞くとなお100mileが魅力的だと思ったり、逆に、やっぱり信越らしい110kmのトレイルを気持ちよく走ってみたいなとも思うけど、やっぱり信越はペーサーがいい。
思い続けて、で走って見て、やっぱりそう思いました。
競技として楽しめて、最高レベルのファンランができて、距離的にも累積標高的にも余分なストレスのないコースを、自分以外の人の浪漫のサポートに集中しながら走れる。ペーサーだから、全体的にちょっと適当でもいい 笑
ランナー以上の喜びといったら大袈裟ですが、トレイルを走る喜びがこの大会のペーサーには詰まっているように思います(言い過ぎか???)。

ぜひみんなにも信越五岳のペーサーを経験してもらいたいなー。ペーサーはもちろん過去の実績いらずです。
来年信越に出ようと考えている人が周りにいるようなら、今すぐ逆ナンパしましょう。
あ、でも自分より速いランナーのペーサーを名乗り出る場合はご注意を。まかれて一人寂しく走る可能性があるようです 笑








【おまけ】
榎本さん、山本さん、クマちゃんと僕の4人で朝6時からモーニングラン。トレイルにもちょこっと入ったりして、後泊した宿で消灯時間まで飲んだビールを消化しました。
翌日は台風も去って晴れ模様。これまたUTMFのデジャブです。来年こそは9月がいい天気続くことを祈って、この辺で〆。

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長々と読んでいただいて、ありがとーーウ!